ボリビアアマゾンの豊かな自然と文化

ボリビアの国土の約2/3を占めるアマゾン川流域地帯は、広大な自然と生物多様性の宝庫と呼ばれています。マディディ国立公園やパンド県のマヌリピ・ヒート・アマゾン動物相国立保護区などの保護区には、手つかずの動植物が存在しています。この地域には、ベニ川やマドレ・デ・ディオス川、マモレ川といった巨大で壮大な川が流れ、緑豊かな森林やラグーン、サバンナが広がります。これらのアマゾン川流域に位置するルレナバケやトリニダ、リベラルタ、グアヤラメリン、コビハといった都市は、ボリビアのゴム産業やブラジルナッツの生産といったボリビアの貿易経済の発展に欠かせない重要な地域です。

ボリビアのアマゾン地域には、特にモホス族の文化に関する重要な考古学的遺産が存在します。例えば、トリニダ近郊のチュチニには、巨大な丘陵や水利施設があり、プレ・コロンブス期以前に完成されていた高度な水利文化は、今なお研究者たちの間で多くの謎を呼んでいます。このように、この地域の先住民文化の多くは、自然と調和したかたちで、古来の伝統や生活様式を今なお守り続けています。

ボリビアのアマゾンには、ボリビア東部にあるサン・イグナシオ・デ・モソスのような宣教師の町や、前述の古くから存在する完璧に近い水利文化が残るロマ・スアレス、ボリビアのゴム経済全盛期の中心地だったカチュエラ・エスペランサ、といった重要な歴史的遺産を持つ地域が数多く存在します。これらのボリビア北部(または北西部)の地域は、文化的な発展と経済的な発展の両方が反映する地域となります。また、文化継承、教育、自然保護など現代社会と伝統文化のはざまで、持続可能な暮らしとアイデンティティの維持に取り組んでいるラパス北部のタカナ族の文化もボリビアにとって非常に重要な価値となっています。

ラパス県北部

場所：ラパス県アベル・イトゥラルデ群およびフランツ・タマヨ群

標高：約1,025m

気温：年間平均21℃

トリニダ

場所：ベニ県セルカド群

標高：約155m

気温：年間平均26℃

コビハ

場所：パンド県ニコラス・スアレス群

標高：約235m

気温：年間平均28℃

ラパス

肥沃な谷に位置し、アルティプラーノの中央に広がるラパスの街は、独特な地形のコントラストと同様に、街全体が他に類を見ないユニークな都市となっています。ボリビアの政治・芸術・文化の中心地であるラパスでは、急な坂道や狭い路地、先住民の伝統、植民地時代の面影、他民族国家の歴史、その多様な文化が重なり合った結果、現代のユニークなアイデンティティが織り成されています。ラパスは、文化観光や商業施設、エンターテイメントが楽しめる、多彩な観光資源が揃った活気あふれる都市です。

場所：ラパス県ムリーリョ群

標高：約3,650m

気温：年間平均11.2℃

ユンガス

ラパス県北部に位置するユンガス地方は、深い森に覆われた山岳地帯で、地域固有の動植物が母なる大地と調和しながら生息しています。ユンガス地方に流れる川や旧道、緑豊かな森林、そしてユンガス地方の町を取り囲む山々は、旅行者にとって人気のアドベンチャーツーリズムのスポットとなっています。ユンガス地方はノル・ユンガス群(北ユンガス)とスド・ユンガス群(南ユンガス)の2つに分かれています。ノル・ユンガス群には、コロイコやコリパタ、トカーニャ、ヨロサといったユンガス地方の主要な都市があり、スド・ユンガス群には、チュルマニやヤナカチといった美しい自然に恵まれた観光地があります。
ユンガス地方を代表する人気のアクティビティの一つに、「デスロード」があります。ラ・クンブレと呼ばれる4,000mを超える山の頂上と低地の町コロイコ(標高約1500m)を結ぶ、断崖絶壁の旧道をマウンテンバイクで駆け抜けます。他にもパラグライダーやサイクリング、登山、ハイキングといったアクティビティがございます。また、亜熱帯気候のユンガス地方に生息する固有の動植物の多様な生態系を一目見に多くの旅行者がこの地を訪れます。

ユンガス地方には、アフロ・ボリビア人であるトカーニャ族が暮らすコミュニティが存在します。彼らは、植民地時代スペイン人によってアフリカから鉱山労働のために連れてこられた最初の黒人たちの直系の子孫です。

ヨロサの町は、コロイコへの玄関口となっています。この周辺にはセドロ・マヨ湖があり、自然の温泉地としてこの地を訪れる旅行者や訪問者の休憩スポットとなっています。また、センダ・ベルデ野生動物保護センターといった場所にも訪問でき、観光が楽しめるようになっています。ヨロサは、高地で栽培されるコーヒーやコカの葉の栽培について、より深く知ることができる重要な拠点にもなっています。

白い街スクレ

「白い街」と称されるスクレは、アメリカ大陸で最も美しい旧植民地都市の一つです。植民地時代、チャルカス裁判所の本部が置かれ、最初の独立運動の発祥都市でもあるスクレは、ボリビア独立以来の首都です。スクレの政治・社会・芸術・学術・文化の重要性が見事に街には反映されており、植民地時代および新古典主義共和制時代(スペインからの独立後のボリビア共和制時代)のいくつもの遺産が今なお状態よく残っています。
スクレ市街は、ユネスコの世界文化遺産に登録されています。
スクレを含むこの地域一帯には、非常に興味深い観光名所がたくさんあります。

マラグアとポトロのコミュニティ観光センター
チュキサカ県にあるハルカスのコミュニティは、自然の染料と伝統的な技法で作られる美しい織物で非常に有名です。ハルカス農耕文化コミュニティ博物館の建設を通じ、地域の自然資源と文化資源の価値を高め保存することを目的としたプロジェクトが立ち上がりました。この施設には、5 つの簡易宿泊施設と工芸センター、伝統医学博物館が併設されています。

白亜紀公園
スクレ市街からわずか数分のカル・オルコ地区で、世界最大級の恐竜の足跡の化石が発見されました。ここには、重要な古生物学遺産が地面に収められています。隣接する広大な自然のエリアには、発見された恐竜の足跡に相当する実物大のレプリカが展示されたテーマパークがオープンしました。施設内には、テーマ別博物館やレストラン、ミュージアムショップなどが併設されています。

場所：チュキサカ県

標高：約1,870m

気温：年間平均15℃

フォルクローレ文化の最高傑作オルーロのカーニバル

ボリビアの宗教と文化の融合を象徴するオルーロのカーニバルは、ボリビア最大のフォルクローレ文化の祭典です。オルーロのカーニバルの一番の見どころは、カーニバルが開催される土曜日に行われる「エントラーダ」と呼ばれるパレードです。数千人ものダンサーがグループに分かれ、ミュージシャンたちとともに約4kmの道のりを練り歩きながら、聖母ソカボンが祀られる聖地を目指し壮麗なパレードを繰り広げます。ディアブラーダやモレナーダ、カポラーレス、ティンクといった見事なダンスは、見る人を圧巻させるダイナミックなダンスです。アンデス神話やボリビアの伝統・歴史がベースとなったダンスを色彩豊かな衣装と共に表現します。オルーロのカーニバルが開催されるまでの一年間、ダンサーたちが着用する衣装のデザイン・制作の準備に大半の時間が費やされます。オルーロのカーニバルは、衣装制作に携わる地元の刺繍師や仮面職人の熟練した技術を披露する素晴らしい機会でもあるのです。
オルーロのカーニバルは、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されています。

オルーロ県には他にも、サハマ国立公園をはじめ、ボリビアの重要な自然遺産や文化・考古学的遺産が数多く存在します。

宗教芸術美術館
ここでは、オルーロの芸術家や職人(仮面職人、刺繍師など)が、美術館の展示室や非常に価値の高い宗教画の修復作業を行いました。

場所：オルーロ県セルカド群

標高：約3,706m

気温：年間平均11℃